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ちくたくちくたく

京都に来た両親を連れて、祇園の料理屋に行った。
そこの大将に、「円山公園で紅葉を見られますか」と訊くと、「紅葉はまだまだですよ」と教えてくれた。円山公園とは、祇園の八坂神社近くにある大きな公園だ。
紅葉狩りの客でホテルが埋まっているというのは、わしの勘違いであった。
「時代祭り」の影響である。
食事のあと、わしがバイトしているラウンジに行った。
他に誰も客が来ていなかったため、店の女の子が全員両親の席についてくれた。
わしは父と母の間に挟まって、なにを話していいのかわからなかった。
親父が下ネタと自慢話を喋るので、わしはとても恥ずかしく、アホ! ブタ! とこき下ろした。
母親は、親父とわしのやり取りを聴きながら、可笑しそうに水割りを飲んでいた。

翌日、両親が泊まったホテルへ行き、親父が運転する車に乗って大阪の船場に向かった。
船場は衣料品の問屋が並ぶ町だ。両親の当初の目的は「仕入れ」であった。
両親は元々服地屋を営んでいるのであるが、服地の売り上げは年々減っており、最近では衣料品も扱うようになってきた。
カーナビと格闘の末、船場にたどりついたわれわれは、1階から8階まで衣料品がぎっしりと並ぶ、とある問屋のビルに入った。
卸し専門の問屋であるが、商品を1枚1枚手にとってカートに入れてゆくシステムになっていて、普通に買い物をしている感覚で仕入れができる。
靴下から毛皮のコートまでなんでも揃っており、その規模の大きさに、わしらはすっかり舞い上がってしまった。
親父は衣料品のことにうといので、母親とわしであーでもないこーでもない、といいながら仕入れた。
20万しか手持ちの金がなくて、ビクビクしながらレジに並んだのであるが、計算をしてもらうと7万円ちょっとにしかならなかった。わしらは貧乏性なのだ。
一方、わしらが血眼になって仕入れをしている間、退屈した親父は、船場の町をぶらついていた。
で、500円の時計を20個も買ったという。
アーケードのある商店街でよく見る、男性の呼び込みがいるタイプの店で。
親父はわしらが使った金額に驚き、わしらは親父が買ったものに驚いた。
母親によると、昔から親父は時計の偽物を掴まされては悔しがっていたという。
そういえば、金ぴかのロレックスもどきの前でうなだれている親父の姿を見たことがあるような気がする。
母親が、ぜんぶ動かんようになったもんね、と笑っていた。
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井上オークス

  • Author:井上オークス
  • 旅打ち競馬ライター。
    佐賀生まれ、愛媛育ち、京都在住。

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