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オッサンと過ごした熱い夜

行きのバスは煙草を吸えない苦しさに涙したが、帰りのバスでは〝臭い〟に悶絶した。
山形発の夜行バスに、上山から乗り込んだわし。
後ろから2番目の自分の席に座ったときから、(ウッ、なんだこの異様な臭いは)と感じていた。
長時間履いたブーツを脱いだときの臭いである。
――もしかして、わし?
慌てて確認するも、己の仕業ではないらしい。隣の座席は空席である。
――ま、そのうち鼻が慣れるだろう。
睡眠体制に入ったのであるが、Tシャツ一枚でも汗が噴き出してくるくらい車内温度が上昇したことも手伝って、臭いはどんどん強烈になっていく。
――気持ち悪くなってきた。
子供の頃、バス遠足のブラックリストに載っていたわし。あの頃に戻りたい。じゃなくてモドシたくない。
わしは無理にでも寝ようと努力した。その甲斐あって、ウトウトしはじめたそのとき。
右の後頭部にコツンとなにかが当たった。
――何?
後ろを振り向くと、そこには「足の裏」があった。嗅覚を破壊するようなおぞましい臭い。性別・男性。全長・推定27センチ。親指部分の濃い染みは、にじみ出た油分だろうか。
――ヒエエエエエエエエ!
わしは半狂乱で後頭部をティッシュでこすり、振り向きざまに「足をのけてください。頭に当たるんで!」と、いびきをかいて熟睡しているオッサンに訴えた。日頃は小心なわしも、このおぞましい生物に対しては我慢ならなかった。「臭いんですけど!」と言わなかっただけありがたく思え。
安眠を妨害されたオッサンは、なにかごにょごにょ呟きながら足を引っ込めた。
しかしわしの怒りは引っ込まず、パーキングに停車したときに「むちゃくちゃ暑いんで、暖房を下げてください!」と運転手に注文した。ていうか、みんな小声で「暑い、暑い」と呟いているんだから、前の座席に座ってる人がゆうてくれたらええやん! 明らかに異常な温度なんだから!
とまあ、半分やつ当たりであったが、速やかに温度は下げられた。
わしはホッとして、お前ら感謝しろよ! と心の中で威張りながら(こんなことで威張ってどうする)睡眠に入ろうとした。
が。
後ろのオッサンは、快適な環境を得てますます安眠体制に突入したのか、臭気を振りまきながら足を伸ばしてくるので、座席や手すりを倒したり起こしたり、わざとらしく咳払いをしたり……と、無意味な攻防は朝まで続いたのであった。チクチョー!
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井上オークス

  • Author:井上オークス
  • 旅打ち競馬ライター。
    佐賀生まれ、愛媛育ち、京都在住。

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