Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

親父(その2)

妹は、親父のそういう悪い意味で子供じみたところや、酔っぱらいで好色でわがままでキレやすくてすぐ暴れるところ、その他いろいろを幼い頃から見せられてきた。妹には潔癖でかたくななところ(唯一、わがままなとこが親父によく似ていて困る)があるので、親父を拒絶するのはわからなくもない。でもアンタ、親父に養われてるんですから。残念! 等々、何度となく諭したが、妹は断固として聞き入れない。
しかしわしは希望を持ってしまう。親父はホントに入学金を払いたくないんじゃなくて、拗ねてるだけなんじゃないか。妹に受け入れられたい気持ちとは裏腹な言葉をつい口に出してしまうんじゃないか、と。
が、母親は暗い声でこんなことをいう。
「倒れて病院に行く途中、あの人なんていったと思う? 『入学金を払ったらいかん。あの金は、俺の葬式代にあててくれ』だって。そんときは心配で心配で、なんも気にならんかったんやけど……」
大袈裟で心配されたがりな奴だから、多少割り引く必要はあるが、そのとき親父が「俺ははこのまま……」と思っていたのは確かであろう。
親はいつかいなくなる。覚悟をしておかねば、と思う。見栄っ張りな親父の、「俺の葬式は、盛大にやってくれよ」という願いを、叶えてやりたい気持ちもある。
しかし、「葬式代」に囚われたまま、親父がこの世から消えるのかもしれないと思うと、切ない。
娘としては、家族のことを思いながら……であってほしい気がする。親父は店をやっているから、商売の行方を案じながら……でも構わない。「我が人生悔いはなし」系もウェルカムだ。
とにかく、心残りが「自分の葬式代」ってのはあんまりだ。
といっても、家を出た娘にできることはなにもない。還暦を越えた親父に「変われ」とか「改心しろ」とかいっても無理だと思う。妹の気持ちも、大阪でひとりで暮らすうちに変わってくるだろう、と、希望的観測を抱くだけだ。
……なんか辛気臭いな。読んでくださっている方はご容赦を。
まあ、考えようによっては、最期の心残りが「葬式代」だというのは、それほど「自分」に没頭した人生だったということであり、わりと幸せな結末なのかもしれない。「アホやったなあ」と笑わせてくれる可能性もある。本当にマヌケな奴だ。だけどたのむから、元気でいてくれと思う。
スポンサーサイト
  • @

Appendix

井上オークスの著書

プロフィール

井上オークス

  • Author:井上オークス
  • 旅打ち競馬ライター。
    佐賀生まれ、愛媛育ち、京都在住。

月別アーカイブ

検索フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。