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静寂

生まれて初めて「困った……」という感情を知った瞬間は、両親が喧嘩したときだったと思う。
愛する人と愛する人が喧嘩をしている様子を、なすすべもなく見守っているのは苦しい。私には無理だ。
だからたいてい母親の味方をする。親父の味方をしたことはほとんどないと思う。3回くらいはあっただろうか。
ともかく、どちらかの加勢をしたからといって、喧嘩が収まることなんて一度もなかった。
癇癪を起こしやすい私は、むしろ火に油を注いでしまうのであった。
それでも両親は、なぜか30年も夫婦を続けている。

母親には母親のよいところがある。親父にもちょこっとだけよい部分がある。が、ダメなところのほうが圧倒的に多い。その理不尽な言動が本当に腹立たしくて、蹴りを入れたくなることばかりだ。
だけどおかしなもので、第三者に親父を貶されると、猛烈な怒りに駆られる。
よく知りもしないくせに、勝手なことを言うな! と叫びたくなる。

ひとつの事象が起こるまでには、いろんな複線があって、原因があって、理由があって、事情がある。個々の心情が絡み合っている。
その迷路に立ち入ってゆく覚悟がない以上、静かに見守っているしかない。

母親の目に映る親父と、私の目に映る親父と、妹の目に映る親父と、祖母の目に映る親父と、他の人の目に映る親父は、それぞれ異なる親父だ。
どれが本当の親父の姿なのか、誰にもわからない。たぶん親父自身もわかっていないと思う。
真実は誰にもわからないのかもしれない。
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井上オークス

  • Author:井上オークス
  • 旅打ち競馬ライター。
    佐賀生まれ、愛媛育ち、京都在住。

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