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オムライス屋に入る。
久々のまともなメシだ。
メニューを見ていると、水が運ばれてくる。
ケチャップオムライスを注文して、ぐびりと水を飲む。
まずい。カルキくさい。
私はグルメでもなんでもないが、外食ばかりしているうちにわかったことがある。
水がまずい店のメシはまずい。

そういえば、この店はガラガラだ。お昼どきだというのに。
心底がっかりしながらまずいオムライスを待つ。

やがてオムライスが運ばれてくる。
やっぱりまずい。水は雄弁なんだ。
まずいまずいと思いながらオムライスを食べる。

こうして私は、水を飲んでからオムライスを消化するまで、うんざりした気持ちで過ごした。
ほらみろやっぱりまずかった。水は正直なんだぜ。

ふと思う。
私は水がまずい店のメシがまずいことを知っている。
しかしそれは、なんの役にも立っていない。
水をひとくち口に含んだ時点で店を出るような度胸はないのだから。

「あーあ、これから私はまずいメシを食べるんだな」という後ろ向きな気持ちに支配されながらまずいメシが運ばれてくるのを待つよりも、まずい水のことをひとまず忘れて、なにか別のことを考えたほうがいいんじゃないか。
なにか楽しそうなことを考えたらいいじゃないか。
世界陸上とか。小倉日経オープンとか。
それより先のことを考えようとしても、いまは考えられない。
とにかく、メシを待つ時間くらいは心穏やかに過ごすようにしよう。

好きなことを好きなようにやるために生きている。
そのためにフリーで仕事をしている。
だけど間抜けな私は、自分が選択権を持っているにもかかわらず、うっかりまずそうな水を飲んでしまう。
そしてまずい水をいやいや飲んでいるうちに、自分の味までまずくしてしまう。
これはいかん。このままではいかん。

たとえまずい水でも、沸かせば旨くなるかもしれないのに。
まずさが案外スパイスになって、けっこういける料理が出来上がるかもしれないのに。
前向きなかもしれないが必要なのかもしれない。
いつか素晴らしい水にめぐり合えるかもしれない。
いまは極上の水で極上の料理をこしらえられる腕を磨く時間なのかもしれない。
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プロフィール

井上オークス

  • Author:井上オークス
  • 旅打ち競馬ライター。
    佐賀生まれ、愛媛育ち、京都在住。

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